■ 農業分野におけるハイパースペクトル画像の利用

飛行機や衛星により撮影されたハイパースペクトル画像は農場経営者が直接自分の目で問題に気付く以前に作物のストレスを検出し、その問題の原因を診断することを可能にしました。

かつて農場経営者の間でリモートセンシングによる効果が過大評価されていたことがあります。 ここで明確にしたい点は、ハイパースペクトル画像は科学的な農業を一晩にして大変革を起こさせるほどのものではありませんが、それは間違いなく非常に大きい効果をもたらす技術であるということです。

まだまだ多くの研究がなされる必要がありますが、農業におけるハイパースぺクトル画像の利用技術の変革はマルチスペクトル画像での変革よりもずっと早いペースで進みました。 このため、ある科学的農業実践者はすでにその新しいデータを処理するための準備を整えています。 そして彼らがその恩恵を一番に受けることになるでしょう。

多数の要因がハイパースペクトル画像アプリケーションに急速な発展をもたらしています。 例えば、NASAのルイス衛星が取得するであろう384バンドのデータは希望者に対し無料で提供されます。 この無制限のデータ配布により科学的農業研究者は比較的安く、この衛星画像データが持っている可能性の探求を行うことができます。

さらに重要なことは、現在多くの農業研究者がすでに航空ハイパースペクトル画像を使用しているということです。 たくさんのシステム、例えばJPLのAVIRISやITRES社のCASIセンサーなどが私的及び公的機関で利用されています。 高まる競争がこれらの道具を購入またはリースするためのコストを下げています。

そしてシングルバンドで1メートルの高解像度を持つ新しい衛星がハイパースペクトル画像とマルチスペクトル画像の有用性を高めています。 マスコミは高解像度の衛星を科学的農業のためのリモートセンシングツールとして報じていますが、これは過大評価です。 高解像度は作物の外見を監視するためには大変効果的ですが、スペクトルデータは作物のストレスと健康についての豊富な情報を提供してくれます。

重要なのは、ハイパースペクトラル、マルチスペクトラル、パンクロそしてレーダーイメージでさえも、単なる個別のツールであり、 これらが一緒に使用された場合に作物の状態に関する完全な画像が得られるという点です。 この点が、RSI社がこれら全てのリモートセンシングデータを処理する機能を1つのソフトウェアパッケージにした理由です。

ハイパースペクトルによる恩恵

科学的農業における衛星及び航空リモートセンシングの目的は農場主に対して作物状態に関する詳細な情報を提供することにあります。水の補給、殺虫剤の使用、もしくは肥料散布などを画像から確認できる状況を基に調節することが可能です。

マルチスペクトル及びハイパースペクトル画像では、作物の発育状況はそのスペクトル情報(作物から放射される電磁気エネルギーの程度)によって評価されます。放射されるエネルギー量は主に作物の健康状態により変化します。

マルチスペクトル画像とハイパースペクトル画像の違いは、スペクトル情報の細部に関する点です。大部分のマルチスペクトルセンサーでは、可視青色、近赤外線といった主要な波長のバンドそれぞれについて、広範囲に測定が行われます。
一方、ハイパースペクトルでは数多くの狭い範囲のバンドについてエネルギーの測定を行います。

この多くの測定数により、ハイパースペクトルの情報から、より詳細な、且つ作物の健康状態についてより特徴的な情報を得ることが出来ます。

「マルチスペクトル画像のいくつかの広域バンドに関する情報により、農場主は作物がストレスを受けていることを確認することができます。」とコロラド州ボールダーにあるAnalytical Imaging and Geophysics (AIG)の所長である地球物理学者ジョー・ボードマン博士は説明しています。「しかし、ハイパースペクトル画像の多数の狭いバンドに関する情報によりストレスが水不足、害虫被害あるいは栄養不足のいずれによって生じたものかを識別することができます。」

より狭いハイパースペクトルセンサーのバンド幅はストレスを確認することが可能なエネルギー放射の微妙な違いに対してさらに敏感です、とボードマンはつけ加えています。その結果、ハイパースペクトル画像はマルチスペクトル画像と比較して作物のストレスをより敏感に検出することが出来ます。

ミシシッピ州にあるNASAのステニススペースセンターはルイス計画の先頭に立ち、農場におけるいくつかのハイパースペクトル適用事例の審査を完了しています。当初の審査結果はメロン、イチゴ、ブロッコリそして柑橘果物といった総利益の高い作物においてその効果が顕著であることを示しています。

ハイパースペクトルに対する関心

384バンドものハイパースペクトルデータを購入し、処理し、保存することは非常に困難なものに思えるかもしれませんが、優れた画像処理ツールにより科学的農業を実践する人にとってこのプロセスは簡単になります。

農業専門家はLandsatのマルチスペクトルデータの7バンド全てではなく3つの特定のバンドを購入すれば十分であることを既に知っています。同様に科学的農業専門家は解決すべき問題によって必要となるプロダクトをハイパースペクトルデータセットから選択するでしょう。AIG、NASA及び他のリモートセンシングセンターの研究者は現在、とうもろこし内の水分含有量、柑橘類の害虫被害、そして特定の作物における様々な病気などを発見するのに最高の製品を作り出すために理論を開発、そして実験しています。

使用者は予めパッケージ化されたデータセット「Corn Water Content」や「Equivalent Biomass」等を購入することになるでしょう。リモートセンシングにおける現在のトレンドはデータを提供する事ではなく、トータルな解決策を提供する事となっています。CASI航空スキャナーの開発元であるアルバータ州ClagaryのITRESリサーチ社はシステムの販売、リースに加え、地図作成サービスを提供することを計画しています。

「解決策を提供することはこのようなサービスにとって非常に重要です。」とITRES社のロバート・プライスは述べています。「私達は顧客に対して未処理データではなく、bitmap形式でデータを提供します」。

当然、多くの巨大な農業供給会社では顧客のために既に社内で画像処理を行っています、そしてこれからも引き続き行われるでしょう。いくつかの画像処理パッケージの優れたアルゴリズムは大きなデータファイルを扱う際に助けとなります。例えば、Research Systems社はENVIではデータファイルサイズを縮小するために、主成分分析、及びMinimum Noise Fraction等の機能がサポートされています。

何が必要となるのでしょうか?

農業系の供給会社、農学者、及び個人の農業経営者はハイパースペクトル、マルチスペクトル、及びパンクロ画像の処理をスタートするために必要となるコンピュータシステムがいかに小規模なものであるかを知って驚くでしょう。ENVI等の強力な画像処理パッケージを実行するために必要なシステムはPentium PCもしくはPower Macintosh程度です。CD-ROM drive及び少なくとも1ギガバイトのハードディスクを装備していることが必要です。WWWへのアクセス機能はデータの入手等の作業で必要となります。

ハイパースペクトル画像技術は現在も開発されそして日々改良されています。コロラド州ボルダーにあるコロラド大学及びAIGはこの分野に関して、すばらしい情報及び知識の提供を行っています。



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